『propeller』
[きっと、澄みわたる朝色よりも、]

■シーンイメージ
 露になったひよの肌。
 一番大切な人の、生まれたままの姿。
 ──俺だけに見せてくれる、その姿。
「恥ず、かしい……」
 ああ。そうだ、忘れてはならない。
 勇気を振り絞っているのは俺ではなく、彼女の方であるという事を。
 ……こんな時は、なんて言えばいい。
「…………」
 やめだ。
 変に考えてしまうよりも、素直な気持ちをぶつけよう。

「綺麗だ」

 そんな一言で、ひよの頬に広がる赤みが増す。
 他の誰でもない、彼女がこの俺を、崇笹丸を見ているのだと、崇笹丸以外は見ていないのだと、実感させられる瞬間。
 きっとこれまでもそうであっただろうに、俺が気付かずにいた事。
 その事に俺は重みを感じるよりも、今はただただ、嬉しかった。

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