闇を切り裂いて影が飛んでくる。
 影に己が得物を叩きつける。

 耳鳴りがするほどの金属音、そして全身に伝わる痺れ。

 それはまるで紙を破くようにこの身を引き裂くかと思われた。

 ようやく頭で理解していたことが、躯に浸透する。

 俺は今――――。

 戦っている。

 悦びはない、だけど悔やみもない。
 此処に在るのはただ、『勝つための行動』という純粋な計算のみでしかない。