レイスは激怒した。必ず、あの男の端正な顔にこの刃を突き立てなければと決意した。
アルフレッドが行動を開始する。疾る直前、左腕を弄っていた。左の手袋を捨てる、黒鉄の義手が露になる。
銃を構えながら突進、一発、二発、三発――。
左腕の義手から、小銃(ライフル)の遊底(ボルト)を引いたような音、次いで剣を鞘から引き抜いたような音。
【レイス】
「何だ、その玩具(おもちゃ)……!?」
“爪”だった。
三本の刃爪(トライ・クロウ)が義手の内側から飛び出していた。
色は白銀。材質はただの鋼鉄などではなく、恐らくミスリル――
それも、義手の魔法文字(ルーン)によって魔法付与(エンチャント)された、言うなれば三本の“魔刃”。
銃が膝頭を撃ち抜く、がくりと態勢を崩し、走る速度が鈍る。
クロウ
刃爪が襲い掛かる――下から上へ、上から下へ。