【???】
「当たり前だ。私は“顔無し(faceless)”だからな」
そう言うなり、“顔無し”が手に持っていた戦月輪(チャクラム)が煌めき――。
【レイス】
「うおっと!」
レイスが慌てて鎌で跳ね返す。
それと同時に、雪はヴァレリアを護りながら後方へと退がっていった。
【???】
「まだまだいくぞ、道化屍(クラウングール)」
外套の中から取り出された四つの戦月輪(チャクラム)が一斉に投擲された。
大きさは様々だが、形と色はほぼ同一だった。
【レイス】
「笑わせるな、この俺に玩具なんぞ通用するかッ!」
突貫――レイスはなりふり構わず、“顔無し”に襲い掛かる。
【???】
「……玩具?」
“顔無し”がさらに五つの戦月輪を投擲――。
【レイス】
「はっ、愚者の一つ覚え――」
レイスの背中が悪寒で震える。
“顔無し”が仮面の向うで嗤ったような――。